【銘柄分析】ギリアド・サイエンシズ(GILD)社について
こんにちは。
銘柄研究です、今回はレムキシビルで脚光を浴びている会社、ギリアド社についてです!
なんとなく、感染症の製薬会社だなぁというくらいの理解でした。
ただ、ウイルス性肝炎を治す画期的な新薬を出して、その疾患自体を事実上なくしてしまった、ユニークなところだという印象はありました。
私は応援する意味でも、少し株を買いました。
そのあとやや株価は下げていました。
ここからホールドしていくには、順番はあべこべですが、もう少ししっかりと理解をする必要があると思いました。
皆さんにも少しでもお役に立てば嬉しいです。
それでは、よろしくお願いします!
ギリアド社について
これは以下のリンクがとてもわかりやすく紹介してくれています。
一部内容を抜粋しますが、
1987年6月米国で、抗ウイルス薬分野に関心のもつ医師が創業したバイオベンチャー、ということです。
今でこそバイオ医薬品は、医薬品においては主流になってきましたが、
当時は低分子の医薬品で生活習慣病を治療するような薬をもつ製薬会社がもてはやされました。
その中でバイオベンチャーが生まれるのですから、面白いなぁと思います。
また起業家という観点からみますと、
未来が見えていたのか、シンプルにアンメットメディカルニーズに着目していたのか、
後者の治療的側面が強いのかもしれませんが、起業家の方であれば知りたいところでは無いでしょうか。
そして今やバイオベンチャーとはならず、世界最大のバイオ製薬会社という地位を、冒頭に紹介しましたウイルス性肝炎治療薬を開発、流通することによって築き上げました。
少し話が逸れてしまいますが、この機会にバイオ医薬品の意味についても確認しておきます。
分子量が大きく製造が難しい一方で、低分子医薬品では治療が難しかった疾患の治療薬として有効であるということです。つまりバイオ医薬品の製造は参入障壁が高いということですね。今でこそ多く普及するようになりましたが、これは恵まれた良い時代だなという側面もあります。
以下バイオ医薬品についての引用です。
バイオ医薬品は,タンパク質や,哺乳類細胞,ウイルス,バクテリアなどの生物によっ て生産される物質に由来しています。バイオ医薬品は多様で特異的な標的を持つこ とから,多くの病気と幅広い患者集団へ最先端の治療を提供する新しい道を開き ます。
(中略)
バイオ医薬品1は,低分子医薬品の製造に用いられる単純な化学合成工程に比べ て,変化に敏感な生物を用いた製造工程で作られています。したがって,最終産物 は,製造工程における様々な因子の影響を受けます。バイオ医薬品は大きくて特性 解析が難しい複雑な分子から成っているので,製造工程でのわずかな変化によって 最終産物が変わってしまうことも起こり得ます。また,非常に複雑な製造工程である ことから,製品の安全性及び有効性を常に維持するため,高い精度を持って,製造 品質管理基準(GMP)、そして定められた規格へ適合することが求められています。 化学合成の低分子医薬品では約50種類の工程内管理試験が行われているのに対し て,バイオ医薬品では約250種類の工程内管理試験が行われています2。
現在の製薬会社ランキング
一歩下がりまして、現在の製薬会社の状況を調べてみました。
以下に現在の製薬会社ランキングを示します。
ギリアド社は見事13位にランクインしています。
研究開発費でみても、世界2位のファイザーを超えていますので、
もはやバイオベンチャーではなく世界で一線を貼るバイオ製薬会社と言えるでしょう。
ファイザーは2位とは言え過去の勢いは削がれてしまっていますね。
これは得意とした生活習慣病領域では売り上げを伸ばすのが難しくなってきていることが原因と考えられます。
代わりにロシュやノバルティス、メルクなどは抗がん剤で成長をさせていますね。
今は低分子医薬品ではなく高分子医薬品を開発する高いレベルの技術を有する企業が成長できる時代になっています。
そして、そうした治療薬を持っている企業には更なる技術の蓄積や疾患に対しての理解が深まり、より強固なビジネスを作り上げるように思います。
いわゆるワイドモートを形成していくこともしやに入れられます。
製薬会社の収益については薬価に依存してますので、また開発確率の問題もあり、簡単には説明できないですが、その話はここでは主題ではありません。
個人的にはそうした点を踏まえて、できればロシュ株を買いたいのですが、残念ながら日本の証券会社では取り扱いがないようで、これはとても残念です。
ギリアド社の業績について
毎回同じですが、マネックス証券の銘柄スカウターで調べてみます。
時価総額9兆円ですので、まあ日本の感覚で言えば十分な規模感で少なくともベンチャーではありません。
自己資本比率は36.6%なので低めですかね。
ROE,ROA,PER,PBR,配当利回りなど、特筆すべきことは無いですね。
見事に2015年で山を作って、これがハーボニーなどのでしょうが、そこからまた戻ってきています。
2019年で売り上げは前年比と同程度ですが営業利益は下げり続けています。
今のうちに新たな品目を作ってしまわないと、ということですね。
これも凸凹ですね。営業利益は下がり続けていましたが、営業キャッシュフローは下げ止まっています。
また投資キャッシュフローが2015年から2017年に大きくあり、新たな柱を立てようとしていることはよくわかります。
現金は2014年以降一定のものは維持しています。
2015年付近に高値をつけてからは低迷していますね。
2020年に入ってから思い出したように出来高が上がっていますが、その割には株価は上がっておりません。
短期資金で売り買いが多いのか、あるいはやれやれ売りか。
それでも68ドル近辺がここ数年の安値になっていますが、これは配当利回りとも関係あるんでしょうか。
思っていたよりもポートフォリオの分散が効いていますね。名前だけでは領域まではわからないのですが、そこまで一つの薬剤に頼っている訳でもないです。これが売り上げが下げ止まった理由かもしれませんね。
営業利益はまだ厳しいので、プロモーションには力を入れているのか、これだけではわかりませんが。
このBiktarvyが大きく成長していますね。他は横ばいかやや減少しています。
ちょっと気になったのでこの薬剤について調べてみましたが、抗HIVの3剤配合剤のようですね。どうもその市場で独り勝ちしているようで、今後も成長の見通しになっています。以下で一番伸びているのがビクタルビ配合錠になります。
この薬で一息ついていた、というのがGILDの現状のようですね。
これだけでも年間5から10%程度の売り上げ成長は期待できそうです。
GILDの各種指標について
2015年以降順調に伸びています。収益は下がっていますがこのペースは大丈夫なのでしょうか。
配当利回りも、まあまあというところでしょうか。
このくらいなら持っていても問題ないかな、という程度です。
問題はこれが継続あるいは増配の見通しがあるのかどうか。
まだ限界では無いというところですが、60%付近であれば現状ではそろそろ打ち止めは近いとみて良いでしょうね。
ただ、1株利益に対してということになりますので、
分母が変われば判断も変わっていきます。
その意味ではEPSがどうかという見通しが大切ですね。
しかしこれまでに示したように、ポートフォリオの売り上げと業績を引っ張る抗HIV配合薬の見通しからは、すぐに落ち込むことはないように思えます。
もちろんレムデシビルが、今のように寄付ではなく販売できるようになった時にはプラスに寄与することでしょう。
少なくとも10億ドルの投資を回収する必要があります。
その点では、よっぽど急な増資をすることもなければまだ増配の可能性は十分にありそうです。
そして米国株の良いところは、そうした増資などで株主にとって不利なことが突発的に出る確率は、日本株に比べてずいぶん低いです。
そういう意味では、今の水準ではお買い得とまでは言えませんが十分持っていても良いように思えます。
これで見ると2019年12月は予想を上回っていました。2020年3月が下回っているのはレムデシビルの開発費負担ということでしょう。その後は2020年6月から安定し2021年3月には成長しているだろうというような予想になっていますね。
PERですが2018年から2019年は利益がなかったんですね。
こうなるとEPSの推移が知りたいんですが、銘柄スカウターには存在しないんですかね。
配当利回りは上がり続けていました。過去4%超えのところまでいきましたが平均は2.8%程度でしたので、今でもまだ3.5%程度なので過去5年でみると良い配当利回りにはなっています。
ここはやはり次の売り上げの柱を早く作ることですね。
なかなか難しいところにはなりますが、抗HIV薬はそれなりに売り上げを安定させてくれそうなので、レムデシビルがこれにうまく乗れば割と見通しは明るいようにも思えますがいかがでしょうか。
まとめ
ギリアド社について銘柄分析を行いました。
個人的には、根治する薬剤をマーケットに出してきた会社であるギリアド社は、感染症治療に対しての芯の通った開発をこれからも続けてもらいたいと思っています。そしてこの市場自体はこれからは社会の関心が高まることで、広がりを見せてくるでしょう。
その時にメインプレイヤーになる企業だと思っています。